RFPって何?——定義・メリット・「作る?作らない?」の判断軸【RFPシリーズ②】

RFPって何?——定義・メリット・「作る?作らない?」の判断軸

RFPって何?——定義・メリット・「作る?作らない?」の判断軸【RFPシリーズ②】

大阪を拠点に、中小企業向けのIT導入・DX支援コンサルティング、研修講師をしている中小企業診断士の片上拓也と申します。 このnoteでは、中小企業が「仕事を楽にする」「組織を強くする」ために使える話を、現場の経験をもとに書いていきます。


前回の記事では、システム導入の失敗が「上流工程の不備」から起きていること、そしてその解決策としてRFPが重要だという話をしました。

今回はいよいよ本題。「RFPとは何か」という基本から、「実際に作るべきかどうか」の判断軸まで整理していきます。

RFPとは何か

RFPとは「Request For Proposal」の略で、日本語では「提案依頼書」と訳されます。

システムの導入を検討している企業(発注者)が、ITベンダーに対して「自社の課題はこれです」「実現したいことはこれです」「こういう条件で提案してください」と伝えるための文書です。

一言で言えば、「自社の要求とプロジェクトの目的を、ITベンダーに正確かつ迅速に伝えるためのツール」です。

RFPを作るメリット

RFPを作成することには、いくつかの大きなメリットがあります。

① トラブルを防げる
「言った・言わない」「そんな話は聞いていない」——システム導入でよくあるトラブルの多くは、発注者とベンダーの認識のずれから生まれます。RFPで要求を文書化することで、後からの「話が違う」を防ぐことができます。

② 複数ベンダーの提案を公平に比較できる
RFPがないままベンダーに相談すると、それぞれが独自の切り口で提案してくるため、比較が難しくなります。同じ土台の情報をもとに提案してもらうことで、公平な比較と選定が可能になります。

③ 社内の合意形成ができる
RFPを作る過程で「自社は何を課題と感じているか」「何を実現したいか」を言語化する作業が発生します。これが社内の認識を揃えるきっかけになり、プロジェクト開始前に関係者の合意を形成できます。

④ 要件定義の負荷を軽減できる
RFPで要求を整理しておくことで、後工程の要件定義がスムーズになります。「何を作るか」の議論を最初に集中させることで、プロジェクト全体の効率が上がります。

RFPのデメリットもある

メリットばかりではありません。RFPには一つ大きなデメリットがあります。

それは作成に時間と労力がかかるということです。

現状の業務を整理して、課題を言語化して、実現したいことをまとめる。慣れていない担当者にとっては、これがかなりの負担になります。「RFPを作ろうとしたけど、途中で止まってしまった」という話はよく聞きます。

ただ、このデメリットを理由にRFP作成をやめてしまうのはもったいない。後述するように、「完璧なRFP」を目指す必要はありません。

「作る?作らない?」よくある理由と判断軸

RFPを作成しない理由として、現場でよく聞く声があります。

「RFPって難しそうで、スキルがない」 「そんな時間がない」 「もうベンダーは決まっているから不要」

一方、作成する理由としてはこういった声があります。

「自社の課題を改めて整理・明確にしたい」 「関係部門の合意をとりたい」 「複数のベンダーを公平に比較したい」 「より自社に合ったシステムを選びたい」

判断の軸は一つです。「複数のベンダーに提案を求めるかどうか」

ベンダーがすでに決まっていて、そのベンダーとの打ち合わせを重ねながら要件を固めていくスタイルであれば、正式なRFP文書は必須ではありません。ただしその場合でも、「自社は何を求めているか」を整理した文書を作る価値は十分あります。

複数のベンダーに提案を依頼するなら、RFPは必須です。同じ条件で提案を受けることが、公平な比較の前提になるからです。

ITベンダー視点からみて

私はITベンダーとして長年、発注者からの相談を受けてきました。その経験から一つ言わせてください。

RFPを作成する発注者は確かに増えてきています。しかし、必要な情報がきちんと揃っているRFPは少ないのが現状です。

よくある問題はこういったものです。

「なぜこのシステムが必要なのか」という目的が書かれていない。あちらの要求とこちらの要求が矛盾している。予算と要求の規模が全く合っていない。要求が羅列されているだけで優先順位がない。

こういったRFPを受け取ったベンダーは、提案書を書きながら「本当に必要なのはこれか?」と首をかしげています。発注者の意図が伝わっていないと、ベンダーも本来の力を発揮できないのです。

RFPは作ることが目的ではなく、「伝わること」が目的です。

次回予告

次回は、RFP・RFI・RFQという3つの文書の違いと、ベンダー選定の全体像を解説します。「RFPだけ知っていればいいのか」という疑問にもお答えします。

RFP作成の支援やシステム導入のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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