2026年6月17日、大阪府立中之島図書館で開催されたビジネスセミナー「学んですぐ実践!仕事力・経営力アップ講座」の第1回に、講師として登壇しました。
テーマは「生成AIを”個人の便利ツール”で終わらせない ― 中小企業のための業務活用 はじめの一歩」。
平日の夜にもかかわらず、会場には55名の方にお集まりいただきました。終了後のアンケートでは、満足以上が77.5%、不満はゼロという結果をいただき、生成AIの業務活用に対する関心の高さを改めて感じる90分となりました。
このレポートでは、当日の内容のダイジェストと、参加者のみなさんの声をお届けします。「生成AIを会社でどう活かせばいいのか」と考えている経営者・ご担当者の方の、ヒントになればうれしいです。
生成AIの今:利用率が1年でほぼ倍増
こんな方が参加されました
今回ご参加いただいたみなさんの顔ぶれは、こんな構成でした。
- 職業:会社員が約半数(45.1%)。そのほか、個人事業主、コンサル・士業、経営者・役員の方など
- 年代:50代が最多(44.9%)、次いで60代(24.5%)、40代(20.4%)。40〜60代で約9割
- 地域:大阪府内・大阪市内が約8割。兵庫・京都・奈良など他府県からも
注目したいのは年代です。生成AIというと「若い世代のもの」というイメージを持たれがちですが、実際に業務でAIを使うかどうかを判断し、現場に落とし込んでいくのは、組織の中核を担う40〜60代の方々です。今回の参加者層は、まさにその「意思決定と実装の当事者」が、自ら学びに来られたことを示しています。
参加理由も明確でした。半数の方が「仕事や業務に役立てるため」と回答しており、趣味や教養ではなく、実務での活用を見据えた切実なニーズがそこにありました。
「会社で始めなければ」── 参加者の中で起きた変化
今回のセミナーで一番うれしかったのは、参加者のみなさんの中に、はっきりとした「行動の変化」が生まれていたことです。アンケートには、こんな声が並びました。
「AIが便利らしい」ことは、多くの方がすでに知っています。けれど、「自社の業務にどう組み込むか」「何から手をつければいいか」という一歩手前で止まっている――今回お話しして、その実感を強く持ちました。
このセミナーが目指したのは、まさにその「止まっている一歩」を踏み出してもらうこと。「使い始める勇気を持てた」という言葉は、講師として何よりの手応えでした。
セミナー内容ダイジェスト
当日お話しした内容を、かいつまんでご紹介します。
「Workslop(ワークスロップ)」という新しい問題
冒頭でお伝えしたのは、生成AIが普及するなかで生まれている新しい問題、「Workslop」です。
AIで手早く作った、一見それっぽいけれど中身の薄い成果物のこと。受け取った側がその確認や手直しに余計な時間を取られ、かえって組織全体の生産性が下がってしまう――そんな現象が、すでに各所で起き始めています。
「個人が便利に使う」だけでは、むしろ組織に負担を生むことがある。この問題提起が、セミナー全体の出発点になりました。
「Workslop」—AI出力の丸投げが職場を壊す
生成AIの基本を「ざっくり」理解する
次に、生成AIの全体像を整理しました。難しい技術論ではなく、業務で使う立場として「これだけ押さえればいい」というレベルで、AIの得意・不得意を解説しました。
参加者からは「AIの得意・不得意がよく理解できた」「AIに対して解像度が上がりました」という声をいただきました。
G系とR系—2つのタイプを知っておく
仕事で使うなら知っておくべき「3つの境界線」
個人利用と業務利用の決定的な違いは、「会社の情報をどこまで入れていいか」という線引きです。ここを曖昧にしたまま使い始めると、情報管理の面で大きなリスクになります。
「何を任せて、何を任せないか」「どんなデータなら入力していいのか」を、具体的な○×の形で整理しました。
境界線①:データの性質による線引き
「3つのフェーズ」で段階的に進める
生成AIの導入でありがちな失敗が、「いきなり全部やろうとする」こと。そうではなく、自社の状況に合わせて段階的に進めるロードマップを提示しました。
無料版で試す段階から、有料版で本格活用する段階まで。「うちは今どこにいるのか」を確認できる地図として、多くの方が前のめりで聞いてくださいました。
事例:生成AIを活用した業務見直し研修
AIの時代に、人間がやるべきこと
最後にお伝えしたのは、AIが進化するほど、人間にしかできない仕事の価値が上がるということ。「何を(What)」より「なぜ(Why)」を考え、組織としての方向を定める役割こそが、これからますます重要になります。
ここで強調したのが、このセミナーの核心でもある「個人の便利ツールで終わらせず、組織の力に変えるには、ツール導入より先に”組織づくり”が要る」というメッセージです。
AIにできること、ヒトにしかできないこと
ワークの様子
今回のセミナーは、講義だけでなくグループワークも取り入れました。「自社の現在地を確認し、明日からの最初の一歩を決める」ワークです。
立場の異なる方同士が、自社の状況を持ち寄って話す。その中で「うちだけじゃないんだ」「こんな使い方もあるのか」と気づきが生まれていく様子は、対面セミナーならではの光景でした。
参加者のみなさんの声
アンケートからいただいた声を、いくつかご紹介します。
一方で、「もっと具体例を聞きたかった」「応用編も開催してほしい」「今回の続きをお願いしたい」という、次への期待の声も多くいただきました。こうした声は、次回以降のセミナーや研修に必ず活かしていきます。
講師から ──「組織づくり」が先
今回のセミナーで一貫してお伝えしたのは、生成AIを”個人の便利ツール”で終わらせず、”組織の力”に変えるには、ツールの導入より先に組織づくりが要る、ということです。
どのAIを使うか、どんなプロンプトを書くか――もちろん大切です。でも、それ以上に重要なのは、「自社のどの業務を、なぜ、どう変えるのか」を組織として決めること。ここが定まっていない状態でツールだけ入れても、冒頭の「Workslop」のような空回りが起きてしまいます。
「使い始める勇気を持てた」というみなさんが、次は「組織として成果を出す」段階へ進んでいけるよう、これからも伴走していきたいと思います。応用編・続編のご要望にも、しっかり応えていく予定です。
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