セミナー講師の依頼を受けたとき、多くの方が悩むのが「何を、どんな順番で話すか」という構成づくりではないでしょうか。私自身、これまで何本もセミナーを企画してきましたが、構成の練り込みには毎回、相応の時間を使っていました。
この記事は、「Claudeの3つの顔」の使い分けを具体的な業務に当てはめてご紹介する連載の第2回です。今回は、セミナー資料づくりでのClaude活用についてお伝えします。
題材:大阪府立中之島図書館でのセミナー
具体例として、2026年6月に大阪府立中之島図書館で登壇した「生成AIを”個人の便利ツール”で終わらせない――中小企業のための業務活用 はじめの一歩」というセミナーを取り上げます。
平日夜の開催にもかかわらず55名にご参加いただき、終了後アンケートでは満足以上が77.5%、不満の声は0件という結果をいただきました。この資料を、Claudeとどう作り上げたかをご紹介します。
ステップ1:Chatで構成を練り込む ― 120回超のやり取り
最初の企画段階では、Chatを使って構成を徹底的に練り込みました。「日本の中小企業における生成AIの業務活用」というテーマを軸に、対象者(経営者・情報システム担当)、時間配分(2時間程度)、伝えたいメッセージを、一つずつ言葉にしていく作業です。
このときのやり取りは120回を超えました。1往復で構成が決まることはなく、「ここはもっと具体例が要る」「この順番だと後半が重い」といった細かい調整を、何度も繰り返しています。
一人で考えるとどうしても手が止まりがちな「構成づくり」ですが、壁打ち相手がいることで、思考が止まらずに前に進み続けられるのが、Chatを使う一番のメリットだと感じています。
ステップ2:構成表をもとに、スライドを一気に仕上げる
構成が固まったら、次はスライド化です。ここでは、見出し・要点・補足を整理した構成データを用意し、それを会社のテンプレートに流し込む形でパワーポイントのスライドを作成しました。
一枚ずつ手作業でレイアウトを組むのではなく、「内容の練り込み」と「見た目の仕上げ」を分業するイメージです。内容の質を高めることに時間を使い、体裁を整える作業はClaudeに任せる。この分業によって、資料作成全体のスピードが大きく変わりました。
当日の内容にも、企画段階の練り込みが表れた
このセミナーでは、冒頭で「Workslop(ワークスロップ)」という、AIで手早く作った中身の薄い成果物が、かえって組織の生産性を下げてしまうという問題提起から入りました。そのうえで、生成AIの基本、業務での使いどころ、実践的な活用ステップへとつなげる構成にしています。
アンケートには、こんな声をいただきました。
AIを会社では検討中だったので、やはり始めなければと思った
生成AIについて使いはじめる勇気を持つことができました
具体的にどう使うか考えるキッカケになった
「使い始める勇気を持てた」という感想は、企画段階でChatと120回以上やり取りしながら構成を練り込んだ手応えそのものだったと感じています。内容の質は、資料の見た目ではなく、構成の練り込みで決まる――今回のセミナーで、あらためて実感したことです。
この経験から言えること
- 構成づくりは「一人で悩む」より「壁打ちしながら整理する」方が圧倒的に速い。Chatとの対話は、頭の中の断片をつなぎ合わせる作業に向いています
- 内容とデザインを分業すると、質とスピードが両立する。構成の練り込みに時間をかけ、スライド化はテンプレートとAIに任せる
- 練り込んだ構成は、当日の手応えに直結する。参加者の反応の良さは、準備段階の対話の質に比例すると感じています
「セミナーや研修を頼まれたが、構成づくりに時間がかかりすぎる」という方は多いはずです。壁打ち相手としてのClaudeの使い方、ぜひ試してみてください。
次回は、コンサル案件前の企業分析でのClaude活用についてご紹介します。